Portfolio
S O N A R - F I E L D
SONAR-FIELD はEnsemble FOVEのオリジナルプロジェクト第一弾となる作品である。
構想当初からコンサートホールでない空間および特殊な形式で演奏することが想定されている。
初期の構想では”音響建築”と呼ばれた。
建築ユニット、Zu architects とのコラボレーションにより実現。
(SONAR-FIELD 2019 のPortfolioはこちら)
▶︎ SONAR-FIELD より "重力のオブジェ"
10人の演奏者 [Ensemble FOVE] は向き方向も異なる場所に配置されており、
この奏者の合間を観客が、5分ごとに聴く位置を移動しながら演奏が進行してゆく。
観客の座席は、移動するごとにそれぞれ異なる景色や音の響きを体験し、かつ観客自身もコンサートの一部であると感じられるように配置されている。
またメインステージ以外の場所でもサウンドインスタレーションが行なわれ、観客を音楽の中へ誘導してゆく。
音楽は仏具“おりん“の素材でもある”真鍮”からできた“新しい打楽器によるサウンド“を核とし、さまざまな形態に変容された7曲から成る。
Note for SONAR-FIELD
I : 呼吸のオブジェ
すやすやと
どこかで聞こえる呼吸
小さな反復は真空に吸い込まれて
ゆっくりと解放されたエネルギーは
いつしか巨大な霧となっていた
II : 泡のオブジェ
泡がはじけて
広い空の一部になった
壊れそうな球体は
秘めごとを包みこんで
光をもとめて上昇する
アクティブな垂直線
VII : 点のオブジェ
きっかけの点
0次元の開閉
無関心に通りすぎた点は時間に線を引いていた
立体的に位置した個性的な点
点描の生きものは呼吸しはじめた
(Text 中川ヒデ鷹)
VI : 重力のオブジェ
膜は揺らぎ
螺旋がうまれた
天と地は旋回しつづける
重力のみが自由に移動できる
うねりの世界
III : 反響のオブジェ
一筋の光は
水晶に閉じ込められて
屈折した
こだまが返ってくるように
虹色に染みて
IV : 周期と同期のオブジェ
たくさんの振り子が揺れている
それぞれが規則正しく
幾何学模様を描きながら
新しい軌跡に憧れて
振り子は揺れ続ける
V : 伸び縮みのオブジェ
加速し引き伸ばされた面は
別の感触を引き出す
時間と長さの織物
美しくグロテスクなミクロの世界
初演ではSANAAの建築作品であるSHIBAURA HOUSE を全面的に使い、演奏者と聴衆との対峙に発生する音楽ではなく、ガラス越しに開かれた都市の風景、光などの周辺環境と、観客自身の動きによる身体経験を等価に取り込むことで“体験する音楽”を徹底的に追求した。
今作品は、都度様々な場所での再演が可能である。
[ Text by 坂東祐大、Zu architects]
Premier performance of SONAR-FIELD
2018/03/18
SHIBAURA HOUSE, Tokyo
By Ensemble FOVE
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S O N A R - F I E L D P r o j e c t
Ensemble FOVE
多久 潤一朗 [flute]
中川 ヒデ鷹 [bassoon]
上野 耕平 [saxophone]
大家 一将 [percussion]
伊藤 亜美 [violin]
戸原 直 [violin]
町田 匡 [violin]
安達 真理 [viola]
小畠 幸法 [violoncello]
篠崎 和紀 [contrabass]
坂東 祐大 [composition]
Art direction: Zu architects
Technical direction : 宮下和也
New instrument support : 細井美裕
Production Support : 前久保諒
Support : 長門裕幸 [Naxos Japan]
Narration : 寺岡歩美 [sugar me]
Photo : 寺西望
助成: 光山文化財団
▶︎ FLYER 1
▶︎ FLYER 2
▶︎ TEASER 動画